前途無難

安全保障関係の記事・東南アジアのテロ情勢など

タイ主要事件(2018年4月1日~7日)

HEADLINES
1. 深南部で武装集団が警官襲撃
2. 1週間で2900万米ドル相当の違法薬物押収
3. シンガポール発タイ行旅客機で偽の爆弾騒動

 

1. 深南部で武装集団が警官襲撃

2018年4月4日(水)、深南部のナラーティワート県で武装集団に警官が殺害された。

事件が起きたのはナラーティワート県サンガイ・パディ(Sungai Padi)で、被害者が警察施設から親族の家へ帰宅したところ、3人組の集団に襲われた。
集団は庭の付近から銃を5度乱射したと、周辺住民が証言している。
現場に残された薬莢から、銃は軍用ライフルM16であったと推測されており、地域の分離独立勢力による犯行とみられる。
また、警察施設から帰宅直後に襲われているところから、事前に居場所を察知されており、かつ施設から尾行されていたと考えられる。

深南部ではパッターニー県を中心に、少数民族武装闘争が続いている。
爆弾や銃による事件は珍しくなく、今年1月にもマーケットでの爆弾テロが生じた。

2. 1週間で2900万米ドル相当の違法薬物押収

3月25日からの1週間で11件2900万米ドル相当の違法薬物取引を国内で摘発した、と4月3日(火)に捜査当局が発表した。

押収品の公開ならびに発表を行ったバンコクの薬物撲滅部門(Narcotics Suppression Division)によると、3月25日から1週間の取り締まりによって、メタンフェタミン錠剤(ヤーバ)180万錠、マリファナ1380kgなどが押収され、総額は8億9000万バーツ(2900万米ドル)に相当する。
一回あたりで規模の最も大きかった摘発は、3月28日(水)に「アイス」と呼ばれるメタンフェタミン(クリスタル・メスなどと日本では呼ばれる)700kgを押収した事案。

メタンフェタミンは、化学合成が可能な覚醒剤で、依存性が高く強い中枢神経興奮作用を持つ。日本でも取り締まり量の最も多い物質である。


3. シンガポール発タイ行旅客機で偽の爆弾騒動

2018年4月5日(木)、シンガポールからタイへ向かう旅客機で、乗客が爆弾を持ち込んだと騒いだため、旅客機が引き返す騒動が発生した。

旅客機はシンガポール・チャンギ国際空港発、タイ・ハットヤイ空港行きのスクート(Scoot・シンガポール航空参加のLCC)TR634便で、機材はエアバスA320、乗員乗客あわせ179人が乗っていた。
チャンギ国際空港を飛び立ってまもなく、ひとりの男性乗客が、機内に爆弾を持ち込んだと騒ぎはじめ、周辺の乗客3人に取り押さえられた。

TR634便は緊急発進したシンガポール空軍の戦闘機2機に付き添われ、引き返した。
着陸後、機体ならびに当該乗客の荷物などを調査したが、爆発性のものは見つからなかった。