前途無難

安全保障関係の記事・東南アジアのテロ情勢など

フィリピン主要事件(2018年4月1日~7日)

HEADLINES
1. ドゥテルテ政権下の「麻薬戦争」により4000人以上死亡
2. 自治体幹部を狙った襲撃事件が続発
3. ミンダナオ島マラウィ市への一時帰宅始まる

 

1. ドゥテルテ政権下の「麻薬戦争」により4000人以上死亡

ドゥテルテ政権の「麻薬戦争」によって、少なくとも4,075人が殺害されたとわかった。
現地紙マニラ・スタンダードが、2018年4月5日(木)に報じた。

報道によると、2016年7月1日から2018年3月末までに、違法薬物に関する取り締まりにより、少なくとも4,075人が殺害され、123,648人が逮捕された。
単純計算で、1日当たり6人程度が殺害され、200人が拘束されていることになる。
なお、2018年に入ってからは、「およそ1日に1人程度の殺害」にとどまっていると同紙は指摘している。

実際のところ、摘発の集中する日は1日あたり1人以上殺害される。
たとえば当週では、4月3日にイロコス・ノルテ州、ラグナ州、ヘネラル・サントス市で麻薬取締に関連して少なくとも4人が殺害された。
すべてが警察によるものではなく、「自警団」などによるものや、「裏切り者」を殺害するといったケースもある。

 

2. 自治体幹部を狙った襲撃事件が続発

ミンダナオ島や海峡を隔てた東ネグロス州で、自治体幹部を狙った襲撃事件が、少なくとも3件発生した。

1件目は、2018年4月2日(月)、東ネグロス州ギハルンガン・シティで起きた。
地方議会議員が、自身のオフィスから帰宅途中に武装集団に銃で撃たれて殺害された。
男性は、1年前にも共産党系過激派「新人民軍」(NPA)に襲われたものの殺害を免れており、今回もNPAによる犯行が疑われている。

2件目は、4月3日(火)、北コタバト州カルメンで起きた。
区長の男性が、自治体庁舎から帰宅する途中の路上で、武装した集団に襲撃された。
この事件で、区長と護衛の男性あわせて2人が殺害された。
襲撃犯については明らかでない。

3件目は、4月4日(水)コタバト州マグペトで起きた。
地域の行政官が武装集団に襲われ殺害され、同行していた2人が負傷した。
こちらの事件も、NPAの犯行とみられており、M-16や拳銃の襲撃痕が確認された。

前週、フィリピン政府はNPAの活動活発化に警鐘を鳴らしていた。

 

3. ミンダナオ島マラウィ市への一時帰宅始まる

2017年夏に発生したミンダナオ島マラウィ市での過激派組織による市街地占拠事件以降、住民が初めて帰宅を許可された。
2018年4月1日(日)に一時帰宅を許可されたのはマラウィ市の住民約7,000人で、最大で三日間の滞在が許可される。
来月にも別の住民グループ10,000人が一時帰宅を許可される見通しだ。

一時帰宅を許可されたことにより、少なくとも南ラナオ州の同市周辺は過激派組織からの安全は確保されたことを意味する。
一方で、地域には不発弾や建物の崩壊など、他の問題が山積しているのが現状だ。
特に不発弾は、いまだ少なくとも53発が残存していると見られるものの、回収作業が難航している。