前途無難

安全保障関係の記事・東南アジアのテロ情勢など

タイ主要事件(2018年4月8日~14日)

HEADLINES
1. 深南部で武装勢力のテロ・襲撃事件が続発
2. ソンクラーンのため死亡事故が大量発生


1. 深南部で武装勢力のテロ・襲撃事件が続発

ナラーティワート県ならびにパッターニー県で武装勢力による爆弾テロや襲撃事件が相次ぎ、少なくとも4人が死亡(うち武装勢力2人)、16人が負傷(うち武装勢力3人)した。
 
連続爆弾テロは、2018年4月9日(月)ナラーティワート県スンガイ・カロック(Sungai Kolok)で発生、3回の爆発で、12人が負傷した。
爆弾はいずれもバイクに仕掛けられており、地域では比較的人気のある「プラザ・ホテル」付近で1回、プラチャウィワート通り(Prachawiwat Road)のレストランとカラオケ・バー付近で2回爆発が起きた。
スンガイ・カロックはマレーシアのクランタンと国境を接する街で、観光客の訪問も少なくない(なお、日本国外務省は地域に渡航中止勧告を出している)。

同じ4月9日(月)、パッターニー県では治安部隊関係者を狙ったテロが2件起きた。
1件目はパッターニー県ヤラン(Yarang)で、治安部隊関係者1人が、車に仕掛けられた爆弾に気づかずエンジンをかけたところ、爆発が起き、重傷を負った。
2件目はパッターニー県マヨ(Mayo)郡で、治安部隊の関係者が、バイクに乗っているところを銃で撃たれて殺害された。

連続爆弾テロの起きた翌4月10日(火)、パッタニー県ヤラン郡で警察と武装集団との銃撃戦が起きた。
これにより、武装集団の2人が射殺された一方、警察3人も負傷した。
警察は、パトロール中に路上の3人組に身分証明書の提示を求めたところ、発砲してきたため銃撃戦となったと発表しており、拳銃2丁と手榴弾1個を押収した。
即席起爆装置(IED)を武装勢力が使用したとの情報もある。

後日、死亡したのは、分離独立組織「ルンダ・クンプーラン・クチル(RKK)」の幹部、ソブエリ・ジェヘと公表された。
ソブエリ・ジェヘは複数の銃撃・爆弾テロにおいて指導的役割を果たしたとされ、複数の逮捕状がすでに発行されていた。

 

2. ソンクラーンのため死亡事故が大量発生

旧正月を祝う「ソンクラーン」の休暇最初の3日間で、1,846件の交通事故が発生し、188人が死亡、1,934人が入院を必要とするけがを負ったと報じられた。
事故の主な要因は飲酒運転(47.6%)で、スピード超過(27.4%)がそれに次ぐ。
何らかの交通違反で取り締まりを受けた総数は17万2294人に達した。

なお、ソンクラーンは例年4月13日から15日の3日間だが、2018年は4月12日(木)から休暇となっている。
ソンクラーンの時期は、交通事故の多発シーズンとして知られており、昨年も最初の2日間に飲酒運転60,000件余が摘発され、事故994件、95人が死亡、1035人が負傷した。
タイは、2015年に死亡事故の発生率が世界第2位という「不名誉」に浴しており、交通事故には常に留意すべきだが、なかでもソンクラーンなどの催事期間に集中する。