前途無難

安全保障関係の記事・東南アジアのテロ情勢など

フィリピン主要事件(2018年4月15日~21日)

HEADLINES
1. ミンダナオ島中西部で国軍による掃討作戦続く
2. 「新人民軍」と和平交渉の可能性示す一方で衝突続く
3. 陸軍新参謀長が過激主義者掃討強化を声明

 

1. ミンダナオ島中西部で国軍による掃討作戦続く

 2018年4月9日(月)よりフィリピン軍は、ミンダナオ島中西部で、過激派組織バンサモロ・イスラーム解放戦線(BIFF)に対する大規模掃討作戦を続けている。
前週はマギンダナオ州が中心であったが、当週はそれよりややミンダナオ島の中部寄りの北コタバト州ピキット(Pikit)を中心に戦闘が続く。

 これに対し、BIFF側も爆弾テロなどで、下記のように応戦している。
▶4月16日(月)北コタバト州ピキットで爆弾テロが発生し、3人が負傷。2人組の男が、バイクから手榴弾を投擲。
▶4月18日(水)北コタバト州ピキットでBIFF10人ほどに、自警団に属する住民1人が襲われ死亡。

 BIFFは、モロ・イスラーム解放戦線(MILF)から分離した、イスラーム主義的な傾向の強い分離独立組織で、最近は一部の勢力がISILに接近をはかるなどの動きがある。

 

2. 「新人民軍」と和平交渉の可能性示す一方で衝突続く

 4月21日(土)、ドゥテルテ大統領は、新人民軍(NPA)など共産党系ゲリラとの和平交渉のため、60日間の「交渉準備期間」を置くと明らかにした。
期間中に武器を置いて居住地に戻り、交渉に応じるよう求めている。
ただし、「60日間」が現時点ではいつ開始されるのか、明らかではない。

 一方、NPAはミンダナオ島の南ダバオ州を中心に国軍と衝突を続けている。
▶4月20日(金)南ダバオ州マグサイサイ(Magsaysay)で、NPA20人程度の集団が国軍と衝突し、NPA側20人が死亡。
▶4月21日(土)南ダバオ州サンタクルス(Santa Cruz)で、NPAと国軍兵士が衝突し、NPA側2人が死亡、1人が拘束された。国軍側は1人が負傷した。

 NPAは前週、ルソン島南東部のビコル半島(南カマリネス州)で、フィリピン軍との衝突を連続して起こしており、活動範囲の広さがわかる。

 

3. 陸軍の新参謀長が過激主義者掃討強化を声明

 4月18日(水)、フィリピン陸軍の新たに就任した参謀長が、ミンダナオ島マラウィ市での市街地占拠事件を念頭に、ISILなどの過激主義者掃討への決意を示した。
就任式典では同時に、イスラーム教徒の多い地域の分離独立運動組織であったモロ民族解放戦線(MNLF)とモロ・イスラーム解放戦線(MILF)の幹部も招待された。
停戦合意の成立した後の安心供与・国民和解にも配慮を見せたかっこうだ。