前途無難

安全保障関係の記事・東南アジアのテロ情勢など

インドネシア主要事件(2018年4月22日~28日)

HEADLINES
1. 「大学生の39%が過激化」と情報機関長官が発言
2. ISILの「地方指導者」が2016年ジャカルタ爆弾テロへの関与否定
3. アチェ州で違法油田が火災
4. マラッカ海峡インドネシア人海賊団が漁船襲撃

 

1. 「大学生の39%が過激化」と情報機関長官が発言

 インドネシア国家情報機関(BIN)のブディ・グナワン長官は、4月28日(土)に行われた講演会の席上で、大学生の39%が過激化していると発言した。
ブディ・グナワン長官は、セマランの大学での講演のなかで、大学生の39%、高校生の23.3%がISILの「ジハード主義」に共感すると回答した、という統計があると発言し、過激主義への警戒感を示した。

 過激主義的なイデオロギーの蔓延は、インドネシアでしばしば問題化している。
インドネシア国内では、「イスラーム国」(ISIL)のような原理主義的過激主義でなく、土着的慣習などを認めつつ、イスラームの原則に立ち返るように求める別種の過激主義的団体が複数存在する。
こうした集団が、2016年末のジャカルタ州知事への抗議運動などについても指導的立場をとったとされる。
同国は、建国の原則として「パンチャシラ」という世俗主義的立場を掲げているものの、国民の多くがイスラーム教徒であるために、過激主義をどのように抑制するかについて、難しい政策的かじ取りを強いられているのが現状だ。 


2. ISILの「地方指導者」が2016年ジャカルタ爆弾テロへの関与否定

 4月27日(金)、南ジャカルタ地方裁判所で、過激主義組織の指導者であるアマン・アブドゥッラーマンの裁判が行われた。
容疑は、2016年にジャカルタ・タムリン通りで爆弾テロならびに銃撃事件(8人死亡)を首謀した疑い。
アマン容疑者は、容疑について否認した。

 アマン容疑者は、2000年代にインドネシア各地でテロを起こしたジェマ・イスラミーアから分派したジェマ・アンシャルシー・ダウラー(JAD)という組織の実質的指導者とされる。
同時に、インドネシアにおけるISILの「幹部」ともみられており、収監中の刑務所からもテロの指示などを出しているとみられている。
刑務所からのテロ指示をいかに防止するかは、司法制度の大きな課題とされている。


3. アチェ州で違法油田が火災

 4月25日(水)、アチェ州東アチェのパシル・プティ(Pasir Putih)で、違法に掘削された油田で火災が発生し、少なくとも18人が死亡、40人以上が負傷した。
油田は、地域住民による違法な掘削によって運営されている250mほどの深さのものだったが、何らかの事故によって出火したと見られる。周辺の家屋5軒などが炎上した。

 インドネシアでは、スマトラ島とジャワ島を中心に、違法油田がしばしば見られる。
特にアチェ州は、原油天然ガスの埋蔵量が豊富であると推計されており、違法油田は地域の「財源」となっている。

 

4. マラッカ海峡インドネシア人海賊団が漁船襲撃

 4月24日(火)、マレーシアのジョホール州バトゥ・パハット(Batu Pahat)沖で、インドネシア人海賊団にマレーシア船籍の漁船が襲撃された。
漁船の3人は人質とされ、身代金3万リンギット(約80万円)を要求されたが、翌日までにインドネシア当局により解放された。
海賊は5人組で構成され、銃やマチェット(なた)で武装していた。