前途無難

安全保障関係の記事・東南アジアのテロ情勢など

タイ主要事件(2018年5月6日~12日)

HEADLINES
1. バンコクで麻薬シンジケート摘発
2. 日本人がカード窃盗被害

 

1. バンコクで麻薬シンジケート摘発

 バンコク市ディンダエン(Din Daeng)で、5月10日(木)、麻薬シンジケートの関係者6人が摘発・逮捕された。
覚醒剤メタンフェタミンの錠剤1,000万錠や、「アイス」398kgなどが押収された。
集団は、バンコク市のジョムトーン(Jom Thong)を拠点に麻薬を販売しており、同日夜に車4台の車列で移動しているところを発見された。

 また、東北部のカーラシン県ノーンクンシー(Nong Kung Si)でも、5月12日(土)、麻薬の密売人が発見され、拘束しようとする警官隊と銃撃戦になった。
密売人の男性は、その2日前に摘発に当たった警察を殺害しており、今回はその場で射殺された。

 タイではもとより、違法薬物に関する犯罪が後を絶たなかったが、近年は覚醒剤合成麻薬の流通量が急増しているといわれる。
特に、ミャンマー少数民族地域から「良質な」メタンフェタミンが送られており、価格下落も引き起こしていることが知られる。
「輸出元」の少数民族のなかには、ミャンマーで反政府武装闘争を行っているグループもあるとされており、それらの資金源として違法薬物が利用されている。


2. 日本人がカード窃盗被害

 バンコクで日本人の関係する目立った事件が2件発生した。

 5月10日(木)、バンコク市クロントイ(Khlong Toey)にあるショッピングモールで、日本人観光客のクレジットカードを悪用しようとしたタイ人2人組が逮捕された。
2人組は、ATMで日本人のクレジットカードを発見し、これでスマートフォンを購入して転売することを試みた。
ところが、購入を試みる際にカード裏のサインが6回一致せず、不審に思った店員が通報したため、容疑者は逮捕された。

 また、5月9日(水)、バンコクのドンムアン国際空港で、ライフルの空弾倉や対人地雷の破片を所有していた日本人観光客の男性が逮捕された。
男性は、日本国籍の27歳で、ドンムアン国際空港から日本へ帰国する途中だった。
ベトナム戦争や太平洋戦争など過去の戦争に関する「土産品」のコレクターで、押収品はベトナムで購入したと供述している。
武器に関するものはもとより、骨董品なども文化財として持ち出し禁止の対象となっていることが多く、購入・所持には留意が必要である*1。

 


*1(余談)向田邦子の著作のなかには、タイでスワンカローク(宋胡録)の小さな壺を買った、なんていう記述がある。
うらやましいとは思うものの、やはり文化財規制のゆるかった1970年代だからできたことで、現在ではしないほうが利口だろう。
タリバーンイスラーム国(ISIL)も、資金源とするためにイラクアフガニスタン文化財を売り捌いたりしていることが知られており、購入する際も注意することが望ましいかもしれない。
東京でもまれに、「これは、まずいんじゃないのか」と思うものが出品されていたりするから、「グローバル化」というのも困ったものである。