前途無難

安全保障関係の記事・東南アジアのテロ情勢など

タイ主要事件(2018年5月13日~19日)

HEADLINES
1. チェンライなどで麻薬密輸犯と警察が銃撃戦
2. 「バンコク・ポスト」編集者解任に批判集まる

 

1. チェンライなどで麻薬密輸犯と警察が銃撃戦

麻薬密輸犯と警察との銃撃について、目立った事件が2件発生した。

5月14日(月)、チェンライ県ウィエンパーパオ(Wieng Pa Pao)で、覚醒剤メタンフェタミンや麻薬ヘロインなどを密輸していた集団と警察が銃撃戦となり、密売人2人が射殺された。
警察が設置していた検問所をトラックが突破したために警察が追跡、停止命令を出したところ発砲されたために銃撃戦となった。
車からはメタンフェタミンの錠剤500万錠、ヘロイン200ブロックなどが押収された*1。

5月15日(火)には、ピッサヌローク県プロンフィラム(Prom Phiram)で麻薬の密売人と警察が銃撃戦となり、密売人1人が射殺された。

タイ警察は麻薬密輸について、上記のように射殺も辞さない姿勢をとっている。

2. 「バンコク・ポスト」編集者解任に批判集まる

5月14日(月)、主要紙バンコク・ポストの編集者が、軍政に対する批判特集を組んだために解任された、と発言し、物議をかもしている。
当月で、軍による実質的なクーデタによってプラユット政権が成立して4年に至る。
重要な政治課題となっているのは総選挙であり、実施はたびたび延期され、バンコクなどではデモが行われている。
この点を批判したバンコク・ポストの特集は、むしろタイにおける言論の自由を保障するものと見られていただけに、元編集者の「告発」には、驚きが広がった。
一方、バンコク・ポスト側は、政権からの圧力などではなく経営上の理由であるとし、編集者の任期もまもなく切れる、と主張している*2。

最近、隣国カンボジアがフン・セン首相のもとで最近「強権体制化」を進め、「プノンペン・ポスト」を自らに近い企業に売却したことなどが、想起される。
タイではただちにそのような事態に至るとは考えにくいものの、バンコク・ポストの姿勢に対するデモンストレーションや、早期の総選挙実施を求める運動などが勢いづくことは考えられ、市中の広場やショッピングモールなどでは、念のために注意しておきたい。

 

*1 The Nation, 14 May 2018, Two suspects with massive haul of meth, heroin killed in Chiang Rai shootout, http://www.nationmultimedia.com/detail/breakingnews/30345341
*2  Financial Times, 15 May 2018, Bangkok Post editor sacked after critical coverage of Thai junta, https://www.ft.com/content/b0f44360-5829-11e8-bdb7-f6677d2e1ce8