前途無難

安全保障関係の記事・東南アジアのテロ情勢など

フィリピン主要事件(2018年5月13日~19日)

HEADLINES
1. スールー州で過激派組織アブ・サヤフと国軍が衝突
2. 地方選挙に関する候補者らの殺害続く
3. 米国人男性がネグロス島で射殺される

 

1. スールー州で過激派組織アブ・サヤフと国軍が衝突

スールー州パティクルで5月13日(日)、国軍が「アブ・サヤフ」の拠点を攻撃した。
これにより、アブ・サヤフ側の11人が殺害された。
国軍側も、レンジャー2人を含む3人が死亡、17人が負傷する被害を受けた。
アブ・サヤフは同地域で、4月29日に拉致した警察官2人を含む複数人を人質としており、国軍は奪還を目指していた*1。

その拉致されていた警察官2人は、5月16日(水)にスールー州で解放された。
この際、拉致に関係した過激派のメンバーが逮捕されている*2。

過激派組織アブ・サヤフは、2017年夏にミンダナオ島で発生した市街地占拠事件(南ラナオ州マラウィ)において、実質的な指導者であるイスニロン・ハピロンが死亡し、大幅に勢力を失っていた。
さらに、2週間前には、精神的指導者であるヤシル・イガサン(Yasir Igasan)が死亡し、過激派組織アブ・サヤフが分裂した可能性がある、とフィリピン国軍が明らかにしていた。

 

2. 地方選挙に関する候補者らの殺害続く

5月14日(月)に、フィリピンでは地方選挙が実施された。

選挙そのものはおおむね「平和的」に実施されたと発表されたが、前日までに30人以上が関連事件で殺害された。
フィリピン国家警察が発表したところによると、地方選挙に関する暴力によって、1か月間に35人が死亡、27人が負傷した。
また、同期間中に摘発された銃火器は1157丁に達し、手榴弾79発、その他爆発物350発も押収された*3。

選挙後も、当選者への不服などでしばらく暴力行為が横行する可能性が高い。
フィリピン国家警察は、「選挙特別警戒期間」を選挙1週間後(5月20日)までとしており、事後といっても即座に警戒を解く体制をとっていない。

3. 米国人男性がネグロス島で射殺される

グロス・オキシデンタル州シライ(Silay)で、アメリカ人男性1人が酔漢に銃撃され殺害された。

事件が起きたのは、5月15日(火)で、アメリカ人男性は、バーで酔漢にしつこくからまれたために、身体を押しのけてその場から立ち去るように言ったところ、激高した酔漢に銃で撃たれた。
酔漢は親族と一緒にいたのだが、この親族も仲裁しないばかりか、銃を渡すなどした。

 

 

*1  The Straits Times, 14 May 2018, 11 militants killed in Abu Sayyaf stronghold in southern Philippines, https://www.straitstimes.com/asia/se-asia/11-militants-killed-in-abu-sayyaf-stronghold-in-southern-philippines

*2  Benar News, 16 May 2018, Abu Sayyaf Militants Free 2 Captives in Southern Philippines, https://www.benarnews.org/english/news/philippine/philippines-militants-05162018101042.html

*3  Rappler, 14 May 2018, 35 killed in suspected barangay, SK elections violence :PNP, https://www.rappler.com/nation/202502-deaths-election-violence-barangay-sk-elections-2018-pnp