前途無難

安全保障関係の記事・東南アジアのテロ情勢など

タイ主要事件(2018年5月20日~26日)

HEADLINES
1. パッターニー県など南部4県で連続爆弾テロ事件
2. 中国人観光客が2週間誘拐被害
3. バンコク市内で民主化デモ阻止

 

1. パッターニー県など南部4県で連続爆弾テロ事件

5月20日(日)、タイ南部のパッターニー県、ヤラー県、ナラーティワート県、ソンクラー県の少なくとも14か所で、銀行やATMにしかけられた爆弾20発以上が爆発した。
死者は出なかったものの、少なくとも3人が負傷した。
分離独立勢力によるものと見られており、恩赦の獲得や、和平交渉の妨害を意図したものと見られている。5月23日(水)までに、パッターニー県で容疑者1人が拘束された。

5月26日(土)にはヤラー県知事がバンコク・ポストのインタビューに答え、マレーシアのマハティール首相の協力を得て、南部の分離独立勢力との和平協議に意欲を示した。


2. 中国人観光客が2週間誘拐被害

バンコクスワンナプーム国際空港で、中国人観光客が2週間にわたり誘拐・監禁されていたことが分かった。

被害に遭った中国人女性は39歳で、香港からバンコクスワンナプーム国際空港に着陸し、まもなく4人組の中国人男性とタイ人女性1人にあとをつけられた。
女性は空港の保安区域のなかで、銃を突きつけられ拉致され、空港を出た。

その後、女性の家族に対し、1000万バーツ(約31万米ドル)の身代金が要求され、同時に女性はバンコク、ラヨーン、パッタヤーなどを14日間にわたって連れまわされた。
女性の配偶者の男性がタイ警察に相談し、警察が解放するよう説得と圧力をかけたところ、5月19日夜23時頃に、バンコク市のバンナー(Bang Na)の路上で解放された。
5月23日(水)までに、事件に関与したとして、タイ人2人が逮捕されている。

このケースは、かなり大掛かりな誘拐事件であり、被害額も小さくない。
タイに限らず、東南アジアでは誘拐事件は一定の頻度で発生しており、人命を狙ったものというよりも金銭目当てやいやがらせ目的であることが多い。

 

3. バンコク市内で民主化デモ阻止

5月22日(火)、バンコクのタンマサート大学で、早期の選挙実施と民主化を求める集団200人から500人が抗議集会を開こうとしたものの、集会防止のためにあらかじめ配置されていた警官隊約3,000人に阻止された。
この日は、2014年に事実上のクーデタが発生した日に当たり、民主化デモが起きることが予期されていた。
目立った暴力は発生していないが、抗議活動を指導した14人が、警察によって身柄を拘束された。

同日、プラユット首相は演説を行い、選挙は2019年の早い段階で行うことを宣言した。
ただし、「それより前倒しすることはありえない」とも指摘しており、抗議運動がしばらく継続するのは、避けられないと見られている。