前途無難

安全保障関係の記事・東南アジアのテロ情勢など

インドネシア主要事件(2018年4月8日~14日)

HEADLINES
1. ジャカルタ・バス停テロ(2017年5月)の首謀者に懲役9年
2. 密造酒により100人を超える死亡事故
3. フィリピン海軍と合同国境管理

1. ジャカルタ・バス停テロ(2017年)の首謀者に懲役9年

2017年5月にジャカルタのバス・ターミナルで発生した自爆テロの指導者に対する裁判が、4月9日(月)に北ジャカルタ地方裁判所で行われ、被告に対し懲役9年が言い渡された。

被告であるキキ・ムハンマド・イクバルは、2000年代初頭にテロ攻撃を繰り返した過激派組織「ジェマー・イスラミーア」から分離した過激派組織「ジェマー・アンサルート・ダウラー(JAD)」のメンバーで、ISILの指導者に忠誠を誓っていた。
事件前に被告は、西ジャワ州バンドゥンのモスクでジハード主義の集会を開いており、自爆テロの実行犯もそこで出会ったと見られている。

 

2. 密造酒により100人を超える死亡事故

4月11日(水)までに、インドネシア各地で密造酒を飲んだと見られる100人以上の死亡者が確認された。
最も死亡者が多いのは、ジャカルタ市内と西ジャワ州である。

問題の密造酒は、小さなプラスティックボトル入りで、25,000ルピア(1.8USドル)で販売されていた。
ラベルはきれいに印刷され、ウイスキーまたはワインと見間違うように作られていた。
当週までに確認されたところによると、密造酒は西ジャワ州ジャカルタ南カリマンタン州などで死亡事故を起こしている。

バリ州や西ヌサ・トゥンガラ州ロンボク島がある)の州政府などは、旅行客に対して現地製の蒸留酒アルコール飲料の消費について警告を出している。

警察は、流通経路を特定して回収を急ぐとともに、製造元・流通者の徹底取り締まりに注力している。

 

3. フィリピン海軍と合同国境管理

2018年4月10日(火)、インドネシア海軍とフィリピン海軍は、ミンダナオ島の南海上セレベス海において、合同の海上警備と訓練を開始した。
4月29日(日)までの20日間の予定で、国境管理を厳格化する目的。

フィリピンのミンダナオ島スールー諸島からは、漁船の移動にまぎれてテロリストや犯罪者などもインドネシアカリマンタン州や、マレーシアのサバ州に潜入しているとされる。
インドネシア政府は、ミンダナオ島からのテロリスト潜入に警戒的で、2017年には空中査察のシステムも導入した。

今回の訓練は、フィリピンとインドネシアによるもので、マレーシア側のサバ州は「死角」となるおそれがある。
実際、2018年3月にはサバ州側からミンダナオ島方面にテロリスト40人程度が「帰還」したとされており、同地域の国境管理はいまだ問題である。