前途無難

安全保障関係の記事・東南アジアのテロ情勢など

インドネシア主要事件(2018年4月29日~5月5日)

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1. 中スラウェシ州でISIL系戦闘員拘束
2. デンパサールなどで中国人詐欺団を逮捕
3. スラウェシ島北部の空港で旅客機が着陸事故

 

1. 中スラウェシ州でISIL系戦闘員拘束

 中スラウェシ州ポソ(Poso)で、4月30日(月)、武装組織の2人が拘束された。
拘束されたのは、同地周辺で活動する武装組織「東インドネシアのムジャヒディン」(MIT)の戦闘員2人。
逮捕者のうち1人は肝炎に感染したために投降、もう1人は履物を買うために近くの村を訪れたところ、不審に思った住民の通報で逮捕された。

 MITは、もともと「ポソ宗教戦争」(スラウェシ島で1990年代にイスラーム教徒住民とキリスト教徒住民とのあいだで生じた武力紛争)に由来する武装組織で、2000年代には過激派組織ジェマ・イスラミーア(JI)参加で活動していた。
その後、JIの分裂に伴い独自の指導者のもとISILに忠誠を誓い、戦闘を継続していた。
2016年頃から、インドネシア国軍は、スラウェシ島内でMITの摘発作戦をたびたび行っていて、勢力は衰えたと見られている。
したがって、今回の逮捕によって、MITの戦力が極端に衰退したり、逆に報復のために武装闘争を活発化させる、といった影響は考えにくい。


2. デンパサールなどで中国人詐欺団を逮捕

 5月1日(火)、バリ警察は、デンパサール(Denpasar)ならびにバドゥン(Badung)で、サイバー詐欺を行っていた中国人103人を逮捕した。
内訳は男性92人、女性11人。協力者としてインドネシア人11人も逮捕された。

 これらの容疑者は、中国に在住する人々に国際電話やインターネット通信を通じ、親族などのふりをして「緊急の医療を受けなければならなくなった」などだまし、資金を振り込ませる詐欺(日本でいう「振り込め詐欺」)を行っていた。
こうしたインターネットを利用した集団的な詐欺団の摘発は、最近、カンボジアやタイなどで続いている。


3. スラウェシ島北部の空港で旅客機が着陸事故

 スラウェシ島北部のゴロンタロにあるジャラルディン空港(Djalaludin Airport)で、4月29日(日)、旅客機が着陸に失敗する事故が起きた。
事故を起こしたのは、マカッサルのスルタン・ハサヌッディン国際空港発、ジャラルディン空港着ライオン航空便(乗客乗員181人)で、着陸時に滑走路から外れる事故が起きた。
事故により負傷者は出なかったが、空港は16時間にわたり閉鎖された。

フィリピン主要事件(2018年4月22日~28日)

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1. 地方選挙を前に候補者らの殺害相次ぐ
2. 「新人民軍」との衝突で15歳少年を国軍が誤射か
3. マニラ近郊のラグナ州でISIL系武装組織の構成員逮捕

 

1. 地方選挙を前に候補者らの殺害相次ぐ

 2018年5月14日(月)に、フィリピンでは地方選挙が予定されている。
対象となるのは、地区(Barangay)の首長と、青年議会(Sangguniang Kabataan・若年層に関する政策の決定権を持つ)の議員だが、地方の利権争いなどと関連するため、殺人事件が横行しやすい。
当週までの2週間で、少なくとも選挙関連の暴力により11人が死亡している。

関連する当週の主な事件は、次の通り。
▶4月24日(火)ブラカン州サラプンガン(Salapungan)で現職の首長が射殺された。
 同地区では、4月27日(金)にも元首長(死亡)と夫人(負傷)が銃で撃たれた。
 3週間前の4月1日(日)にも、候補予定者が射殺されている。
▶4月26日(木)サマル州カルバヨグ(Calbayog)で、 立候補中の男性とその父親が、武装した集団に襲われ射殺された。
▶4月27日(金) カピス州ロサス(Roxas)で、候補者が2人組に襲われ、射殺された。

 

2. 「新人民軍」との衝突で15歳少年を国軍が誤射か

 ミンダナオ島の南ダバオ州サンタクルス(Santa Cruz)で、治安部隊と新人民軍(NPA)が衝突し、NPAの2人が死亡・1人を逮捕したと、4月21日(土)に国軍が発表していた。
ところがこれに対し、4月24日(火)、殺害されたうちの1人は北コタバト州の高校生でNPAの構成員ではない、と親族や目撃者が主張し始めた。
親族らは、少年がNPAの制服を着用し銃を持っていたとの国軍発表について、「少年を殺害したことを正当化する常套手段にすぎない」として、強く否定している。

 NPAは依然として、南ダバオ州やサランガニ州などで、国軍との衝突を続けている。
一方、フィリピン国軍は、NPAの浸透を防止するために、西ネグロス州などで青年議会選挙候補者のスクリーニングを強化している。

3. マニラ近郊のラグナ州でISIL系武装組織の構成員逮捕

 4月27日(金)、マニラ首都圏にほど近い、ラグナ州サンタ・ローサ(Santa Roza)で、ISILと関係する過激派組織ラジャ・ソレイマン運動(Rajah Solayman Movement)の2人が逮捕された。
「首都圏でのテロ活動を予防する行動の一環である」と国家警察長官は述べている。
5月3日(木)からのアジア開発銀行の年次総会を前に、テロへの警戒が強められていた矢先の、摘発事件であったといえよう。

タイ主要事件(2018年4月22日~28日)

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1. 北部で少数民族グループの指導者襲撃
2. カンボジア野党指導者をテロ容疑によりバンコクで拘束
3. パッタヤーの猥褻イベントに参加した外国人観光客25人逮捕

 

1. 北部で少数民族グループの指導者襲撃

 北部のチェンライ県で、少数民族グループの指導者が襲撃される事件が起きた。

 4月24日(火)、チェンライ県ウィアンカエーン(Wiang Kaen)で、モン・クラブ(Hmong Club)の議長の男性が乗った車が、銃で武装した集団に襲撃された。
議長の男性は、所有するコーヒー農園を家族で訪れた帰りに山間部で襲われており、計画的犯行と推測されている。
男性とその息子は重体であり、車に同乗していた妻と娘は死亡した。

 議長の車はトヨタ製のピックアップで、おびただしい銃弾の後が残されていた。
襲撃犯は少なくとも2人、AK-47とショットガンで撃ったと推測されている。
動機などはわかっていないが、ビジネス上の争いまたは暗殺と見られており、麻薬がらみとの報道もある。

 モン・クラブとは、北部に居住する少数民族(中国南部のミャオ族系)の権利を主張する団体で、文化教育などを行っている。

 

2. カンボジア野党指導者をテロ容疑によりバンコクで拘束

 4月26日(木)、バンコクの入国管理局で、カンボジア野党「クメール民族自由戦線」(KNLF)のサム・シレイ(Sam Serey)党首の身柄が拘束された。
シレイ党首はタイのビザ延長を申請しようとしていたところであった。

 KNLFは、プノンペン中心部で爆弾テロを計画したとして、カンボジアのフン・セン首相から糾弾されており、さっそく身柄引き渡し要求がなされている。
シレイ党首自身は、すでに2016年にカンボジアでテロ攻撃を計画したとの容疑で禁固9年(ただし本人は裁判に欠席)が科されており、タイ政府が身柄を引き渡すかどうかが注目される。
一方、人権NGOなどはサム・シレイ氏の引き渡し要請はそもそも政治的な動機付けによるものであり、権利蹂躙であると批判している。

(追記)シレイ党首はその後、亡命先のデンマークへと「無事に」送還された。

 

3. パッタヤーの猥褻なイベントに参加した外国人観光客25人逮捕

 4月21日(土)、パッタヤーのバン・チューリップ・ホテルで、猥褻なパーティを開いていた外国人観光客25人が拘束された。
拘束されたのは男性14人、女性11人で、シンガポール、米国、カナダ、中国、マレーシア、ドイツ、カンボジア、インド、ウクライナの国籍者が含まれていた。
違法な性的行為にかかわる勧誘が行われたとみられている。

インドネシア主要事件(2018年4月22日~28日)

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1. 「大学生の39%が過激化」と情報機関長官が発言
2. ISILの「地方指導者」が2016年ジャカルタ爆弾テロへの関与否定
3. アチェ州で違法油田が火災
4. マラッカ海峡インドネシア人海賊団が漁船襲撃

 

1. 「大学生の39%が過激化」と情報機関長官が発言

 インドネシア国家情報機関(BIN)のブディ・グナワン長官は、4月28日(土)に行われた講演会の席上で、大学生の39%が過激化していると発言した。
ブディ・グナワン長官は、セマランの大学での講演のなかで、大学生の39%、高校生の23.3%がISILの「ジハード主義」に共感すると回答した、という統計があると発言し、過激主義への警戒感を示した。

 過激主義的なイデオロギーの蔓延は、インドネシアでしばしば問題化している。
インドネシア国内では、「イスラーム国」(ISIL)のような原理主義的過激主義でなく、土着的慣習などを認めつつ、イスラームの原則に立ち返るように求める別種の過激主義的団体が複数存在する。
こうした集団が、2016年末のジャカルタ州知事への抗議運動などについても指導的立場をとったとされる。
同国は、建国の原則として「パンチャシラ」という世俗主義的立場を掲げているものの、国民の多くがイスラーム教徒であるために、過激主義をどのように抑制するかについて、難しい政策的かじ取りを強いられているのが現状だ。 


2. ISILの「地方指導者」が2016年ジャカルタ爆弾テロへの関与否定

 4月27日(金)、南ジャカルタ地方裁判所で、過激主義組織の指導者であるアマン・アブドゥッラーマンの裁判が行われた。
容疑は、2016年にジャカルタ・タムリン通りで爆弾テロならびに銃撃事件(8人死亡)を首謀した疑い。
アマン容疑者は、容疑について否認した。

 アマン容疑者は、2000年代にインドネシア各地でテロを起こしたジェマ・イスラミーアから分派したジェマ・アンシャルシー・ダウラー(JAD)という組織の実質的指導者とされる。
同時に、インドネシアにおけるISILの「幹部」ともみられており、収監中の刑務所からもテロの指示などを出しているとみられている。
刑務所からのテロ指示をいかに防止するかは、司法制度の大きな課題とされている。


3. アチェ州で違法油田が火災

 4月25日(水)、アチェ州東アチェのパシル・プティ(Pasir Putih)で、違法に掘削された油田で火災が発生し、少なくとも18人が死亡、40人以上が負傷した。
油田は、地域住民による違法な掘削によって運営されている250mほどの深さのものだったが、何らかの事故によって出火したと見られる。周辺の家屋5軒などが炎上した。

 インドネシアでは、スマトラ島とジャワ島を中心に、違法油田がしばしば見られる。
特にアチェ州は、原油天然ガスの埋蔵量が豊富であると推計されており、違法油田は地域の「財源」となっている。

 

4. マラッカ海峡インドネシア人海賊団が漁船襲撃

 4月24日(火)、マレーシアのジョホール州バトゥ・パハット(Batu Pahat)沖で、インドネシア人海賊団にマレーシア船籍の漁船が襲撃された。
漁船の3人は人質とされ、身代金3万リンギット(約80万円)を要求されたが、翌日までにインドネシア当局により解放された。
海賊は5人組で構成され、銃やマチェット(なた)で武装していた。

フィリピン主要事件(2018年4月15日~21日)

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1. ミンダナオ島中西部で国軍による掃討作戦続く
2. 「新人民軍」と和平交渉の可能性示す一方で衝突続く
3. 陸軍新参謀長が過激主義者掃討強化を声明

 

1. ミンダナオ島中西部で国軍による掃討作戦続く

 2018年4月9日(月)よりフィリピン軍は、ミンダナオ島中西部で、過激派組織バンサモロ・イスラーム解放戦線(BIFF)に対する大規模掃討作戦を続けている。
前週はマギンダナオ州が中心であったが、当週はそれよりややミンダナオ島の中部寄りの北コタバト州ピキット(Pikit)を中心に戦闘が続く。

 これに対し、BIFF側も爆弾テロなどで、下記のように応戦している。
▶4月16日(月)北コタバト州ピキットで爆弾テロが発生し、3人が負傷。2人組の男が、バイクから手榴弾を投擲。
▶4月18日(水)北コタバト州ピキットでBIFF10人ほどに、自警団に属する住民1人が襲われ死亡。

 BIFFは、モロ・イスラーム解放戦線(MILF)から分離した、イスラーム主義的な傾向の強い分離独立組織で、最近は一部の勢力がISILに接近をはかるなどの動きがある。

 

2. 「新人民軍」と和平交渉の可能性示す一方で衝突続く

 4月21日(土)、ドゥテルテ大統領は、新人民軍(NPA)など共産党系ゲリラとの和平交渉のため、60日間の「交渉準備期間」を置くと明らかにした。
期間中に武器を置いて居住地に戻り、交渉に応じるよう求めている。
ただし、「60日間」が現時点ではいつ開始されるのか、明らかではない。

 一方、NPAはミンダナオ島の南ダバオ州を中心に国軍と衝突を続けている。
▶4月20日(金)南ダバオ州マグサイサイ(Magsaysay)で、NPA20人程度の集団が国軍と衝突し、NPA側20人が死亡。
▶4月21日(土)南ダバオ州サンタクルス(Santa Cruz)で、NPAと国軍兵士が衝突し、NPA側2人が死亡、1人が拘束された。国軍側は1人が負傷した。

 NPAは前週、ルソン島南東部のビコル半島(南カマリネス州)で、フィリピン軍との衝突を連続して起こしており、活動範囲の広さがわかる。

 

3. 陸軍の新参謀長が過激主義者掃討強化を声明

 4月18日(水)、フィリピン陸軍の新たに就任した参謀長が、ミンダナオ島マラウィ市での市街地占拠事件を念頭に、ISILなどの過激主義者掃討への決意を示した。
就任式典では同時に、イスラーム教徒の多い地域の分離独立運動組織であったモロ民族解放戦線(MNLF)とモロ・イスラーム解放戦線(MILF)の幹部も招待された。
停戦合意の成立した後の安心供与・国民和解にも配慮を見せたかっこうだ。

タイ主要事件(2018年4月15日~21日)

HEADLINES
1. 深南部で銃撃テロ事件
2. ISIL関係者2人をタイ国内で拘束
3. ソンクラーン(水かけ祭り)期間の死亡事故は3500件超
4. 国内線で爆発物騒ぎ

 

1. 深南部で銃撃テロ事件

 タイ深南部では、先週に引き続き、今週も銃撃によるテロが発生した。

 4月16日(月)、パッターニー県コックポー(Khok Pho)で、自警団の男性を乗せた車が武装した集団に襲われた。
車のドライバーら2人が死亡し、自警団の男性1人が負傷した。

 タイ深南部では前週も、ナラーティワート県ならびにパッターニー県で、武装勢力による連続爆弾テロや襲撃事件が相次ぎ、少なくとも4人が死亡(うち武装勢力2人)、16人が負傷(うち武装勢力3人)している。


2. ISIL関係者2人をタイ国内で拘束

 4月18日(水)、タイ国内で、「イスラーム国」(ISIL)と関係がある2人が逮捕されたことを、プラウィット副首相(兼国防相)が明らかにした。
拘束された1人は、タイ南部のナラーティワート県チョアイローン(Cho Airong)出身で、 ISIL関係者としてマレーシア政府から指名手配されていた。
副首相は、拘束された男性がどこで、いつ逮捕されたかなどの詳細は明らかにしなかった。

 タイ深南部は、陸路伝いにマレーシアなどにイスラーム過激派が侵入するルートとして利用されていることが知られている。
移動先と目されるマレーシアでは先月(2018年3月)、ISIL関係者6人が拘束されるなど、摘発が続いている。
現時点ではタイ国内でのISILの活動は抑えられた状況が続いているが、上記のようにテロ事件とは無関係の地域ではないことに、留意しておくべきだろう。

 

3. ソンクラーン期間の死亡事故は3500件超

 タイの旧正月を祝う「ソンクラーン」(水かけ祭り)による交通事故は、3500件超であったことが明らかになった。
タイ内務省によると、ソンクラーンの期間1週間(4月11日から17日)で、交通事故は3724件発生し、418人が死亡した。
これは、昨年の死者数(390人)を28人上回った。

 タイは、2015年に死亡事故の発生率が世界第2位という「不名誉」に浴しており、交通事故には常に留意すべきだが、なかでもソンクラーンなどの催事期間に集中する。
事故の主な要因はスピード超過で、飲酒運転がこれに続く。

 

4. 国内線で爆発物騒ぎ

 2018年4月20日(金)、北東部のルーイ県からバンコクへ向かうノーク航空DD9705便で、「爆弾をしかけた」と離陸前に機内で騒いだドイツ人男性1人が逮捕された。
DD9705便は当時、乗客乗員合わせ88人を乗せていたが、男性の身柄を拘束・引き渡したのちに運航を再開した。
警察は爆弾が実際に存在していたか否かを明らかにしていない。

インドネシア主要事件(2018年4月15日~21日)

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1. 密造酒死亡事件の容疑者拘束
2. 中ジャワ州の地震で死傷者
3. 新たなロヒンギャ難民船が漂着

 

1. 密造酒死亡事件の容疑者拘束

 4月上旬からジャワ島各地で発生していた密造酒による死亡事件について、2018年4月18日(水)、密造の中心人物の男性が逮捕された。
男性は西ジャワ州チカレンガ(Cicalengka)で密造を行っていたが、南スマトラ州の農園に潜伏しているところを逮捕された。

 密造酒による死亡事件は4月4日(水)頃に明らかになり、西ジャワ州ジャカルタを中心にこれを飲んだとみられる、少なくとも45人、最大で100人以上が死亡した。
問題となっている密造酒は、小さなプラスティックボトル入りで、25,000ルピア(1.8USドル)で販売されていた。
死因は、混入したメチルアルコールであることも明らかになった。

 イスラーム教徒が多数を占めるインドネシアでは、税率や規制の問題で合法なアルコール飲料が高額である。
そのため、安価な密造酒が非正規に流通しており、これらの多くはいわゆる「ブラックマーケット」の資金源となっていると言われる。
ただし、今回のように大規模な死者が出るケースは珍しく、そのために警察が総力を挙げての摘発となった。


2. 中ジャワ州の地震で死傷者

 2018年4月18日(水)、中ジャワ州ケブメン(Kebumen)近辺で地震規模M4.4の地震が発生した。
この地震により、3人が死亡、21人が入院を要するけがを負った。
また、家屋300軒ほどが被害に遭い、約2100人が避難所に収容された。

 死亡者3人のうち2人は高齢者、1人は13歳の少年で、建物の倒壊に巻き込まれた。

 これとは別に、4月16日(月)には北マルク州テルナテの北西85kmの海上で、地震規模M5.9の地震が発生した。こちらは、被害ならびに津波の報告はない。

 

3. 新たなロヒンギャ難民船が漂着

 2018年4月20日(金)、スマトラ島北端のアチェ州ビルーエン(Bireuen)沖で、ロヒンギャ難民76人(男性43人・女性25人・子供8人)を乗せた木製ボートが漂流しているのを周辺の漁業従事者が発見し、救助した。
どこから、何日間かかって移動したかなどの詳細は分かっていない。

 同海域では4月6日(金)にもロヒンギャの難民船が救助されており、その際には5人が死亡していた。

 ロヒンギャ難民問題をめぐっては、ミャンマー政府とバングラデシュ政府、国連を中心に帰還計画が進められているが、現時点では順調に進んでいるとは言えない。
一方、モンスーンによる豪雨で、住宅崩壊や難民キャンプ崩壊などの危険が迫っているとも報じられており、状況によってはこうした難民が増える可能性も考えられる。