前途無難

安全保障関係の記事・東南アジアのテロ情勢など

フィリピン主要事件(2018年4月22日~28日)

HEADLINES
1. 地方選挙を前に候補者らの殺害相次ぐ
2. 「新人民軍」との衝突で15歳少年を国軍が誤射か
3. マニラ近郊のラグナ州でISIL系武装組織の構成員逮捕

 

1. 地方選挙を前に候補者らの殺害相次ぐ

 2018年5月14日(月)に、フィリピンでは地方選挙が予定されている。
対象となるのは、地区(Barangay)の首長と、青年議会(Sangguniang Kabataan・若年層に関する政策の決定権を持つ)の議員だが、地方の利権争いなどと関連するため、殺人事件が横行しやすい。
当週までの2週間で、少なくとも選挙関連の暴力により11人が死亡している。

関連する当週の主な事件は、次の通り。
▶4月24日(火)ブラカン州サラプンガン(Salapungan)で現職の首長が射殺された。
 同地区では、4月27日(金)にも元首長(死亡)と夫人(負傷)が銃で撃たれた。
 3週間前の4月1日(日)にも、候補予定者が射殺されている。
▶4月26日(木)サマル州カルバヨグ(Calbayog)で、 立候補中の男性とその父親が、武装した集団に襲われ射殺された。
▶4月27日(金) カピス州ロサス(Roxas)で、候補者が2人組に襲われ、射殺された。

 

2. 「新人民軍」との衝突で15歳少年を国軍が誤射か

 ミンダナオ島の南ダバオ州サンタクルス(Santa Cruz)で、治安部隊と新人民軍(NPA)が衝突し、NPAの2人が死亡・1人を逮捕したと、4月21日(土)に国軍が発表していた。
ところがこれに対し、4月24日(火)、殺害されたうちの1人は北コタバト州の高校生でNPAの構成員ではない、と親族や目撃者が主張し始めた。
親族らは、少年がNPAの制服を着用し銃を持っていたとの国軍発表について、「少年を殺害したことを正当化する常套手段にすぎない」として、強く否定している。

 NPAは依然として、南ダバオ州やサランガニ州などで、国軍との衝突を続けている。
一方、フィリピン国軍は、NPAの浸透を防止するために、西ネグロス州などで青年議会選挙候補者のスクリーニングを強化している。

3. マニラ近郊のラグナ州でISIL系武装組織の構成員逮捕

 4月27日(金)、マニラ首都圏にほど近い、ラグナ州サンタ・ローサ(Santa Roza)で、ISILと関係する過激派組織ラジャ・ソレイマン運動(Rajah Solayman Movement)の2人が逮捕された。
「首都圏でのテロ活動を予防する行動の一環である」と国家警察長官は述べている。
5月3日(木)からのアジア開発銀行の年次総会を前に、テロへの警戒が強められていた矢先の、摘発事件であったといえよう。